【映画㉘】 キングダム見えざる敵
サウジアラビアの石油会社、外国人居住区で自爆テロが発生した。300人以上の犠牲者の中にはFBI捜査官も含まれていた。 アメリカで同僚の悲報を受けたFBI捜査官フルーリーは首謀者がアルカイダと関係あるアブ・ハムザと推察、現地捜査を願い出る。
2007年アメリカ映画、ジェイミーフォックス主演、監督は「コラテラル」等で有名なマイケルマン監督。
【ここからネタバレ注意!】
作中の事件等は架空のものだが、モデルがあるとのこと。
なので、事件が起きる際の動機、心境、その後の展開等は実に現実的に描かれている。
サウジアラビアという国については、石油で財政が成り立ち、王族が大きな力を持っていることは知っていたが、宗教的な側面=ことイスラム教については一枚岩ではなく、原理主義等の様々な宗派が存在し、中には過激な思想を持つ宗派も存在することについては詳しく知らなかった。
作中でFBI捜査官たちは現地のサウジアラビアの警察と協力し、捜査を開始するが、警察も一枚岩ではなく、だれが敵でだれが味方かわからない緊迫感の中話は続く。
主人公たちは過激派から常に狙われ続け、最後は協力者に犠牲が出るも、首謀者を殺害する。
大まかなストーリーはここまでだが、この作品は残された者たちの心境や視点を濃く描いている。
特に子供たち。
アメリカ人、サウジアラビアの警察、原理主義者、その遺族が家族の悲報を知り、実際目の当たりにすることで、必ずや自分が報復することを誓うといった描写が多い。
「復讐は復讐しか生まない。だから復讐は無意味だ。」
「やってやられてやり返して。でも俺がやられたらやり返さなくていい。」
こんなセリフを聴いたことがあるし、その通りだと思うが、残されたものは「はい、そうですか」とは簡単に言えるはずもない。
きっかけやチャンスがあれば簡単に引き金を引くし、それをしなかったとしても、道理としてわかっていたとしても、憎しみはなかなか消えない。
相手にも事情があり、家族がいる。
それが分かっていたとしても許せないこともある。
もし自分が同じ目にあったら果たして許せるのだろうか?
そんな大きなテーマを突き付けてくる作品でした。