飲み会でするような話をしましょう

真面目に不真面目な話します

【映画㉛】 タクシー運転手 ~約束は海を越えて~

f:id:nomikai:20210516223444j:plain

ソウルのタクシー運転手マンソプは「通行禁止時間までに光州に行ったら大金を支払う」という言葉につられ、ドイツ人記者ピーターを乗せて英語も分からぬまま一路、光州を目指す。何としてもタクシー代を受け取りたいマンソプは機転を利かせて検問を切り抜け、時間ぎりぎりで光州に入る。“危険だからソウルに戻ろう”というマンソプの言葉に耳を貸さず、ピーターは大学生のジェシクとファン運転手の助けを借り、撮影を始める。しかし状況は徐々に悪化。マンソプは1人で留守番させている11歳の娘が気になり、ますます焦るのだが…。

 

韓国で一番有名であろう大俳優ソン・ガンホ主演2017年の韓国映画です。

 

【ここからネタバレ注意!】

1980年韓国で実際に起きた光州事件を描いた映画です。

光州事件(こうしゅうじけん)は、1980年5月18日から27日にかけて大韓民国(韓国)の全羅南道の道庁所在地であった光州市(現:光州広域市)を中心として起きた民衆の蜂起。5月17日の全斗煥らのクーデターと金大中らの逮捕を契機に、5月18日にクーデターに抗議する学生デモが起きたが、戒厳軍の暴行が激しかったことに怒った市民も参加した。デモ参加者は約20万人にまで増え、木浦をはじめ全羅南道一帯に拡がり、市民軍は武器庫を襲うと銃撃戦の末に全羅南道道庁を占領したが、5月27日に大韓民国政府によって鎮圧された。

作中では市民に銃を向け暴力を振り弾圧する軍と、それに必死で抵抗する光州市民が描かれています。

 

ソウルのタクシードライバーであるソンガンホは高額な報酬のためにドイツ人記者を乗せてなんとか光州に入り、軍の暴挙を目の当たりにします。

作品前半はあらすじの通り記者を光州に送り届け、娘のためにソウルへと引き返す主人公ですが、ここからストーリーは急展開します。

とにかく娘のため、お金のために働くソンガンホですが、帰り道の途中で急に方向転換、光州に戻り、記者を空港に送り届けるために体を張ります。

実はこの記者とタクシードライバー実在の人物がモデルだそうで、物語最後には本物のドイツ人記者の方が話されている様子も映ります。

 

作品後半から一気に緊迫感が増します。

市民に対し催涙弾を撃っていた軍隊が、実弾の入った銃を向け容赦なく撃ってきます。

負傷したデモ隊の人を助けようとする人や、白旗を上げている人も容赦なく撃ち殺し、もはや虐殺の様相を呈し始めます。

一方でこの情報が外にばれないように徹底的に情報統制をおこない、海外記者たちを追い始めます。

それに対しタクシードライバーたちのまさに命を懸けた抵抗(車で体当たり)や、軍の中でも子の暴挙に疑問を持っている軍人に助けられたりしながら、なんとか記者は海外に逃げ出し事実を伝えることに成功するのです!

 

この作品で感じることは、情報統制の恐ろしさ、軍の暴挙を止めるすべがないこと、マスメディアがいかに命をかけて真実を追ってくれているかということです。

この記事を書いてる現在も、ミャンマーパレスチナでは多くの市民が犠牲になり命を落としています。

それを知ることができるのは記者の方の勇気ある行動のおかげであり、それに関わったすべての方のおかげでもあります。

 

私は趣味で記事を書いていますし、自分の思ったことしか書いていませんが、それでも読んでくださる方の心に少しでも影響を与えられるような発信をしていきたいと思いました。

 

観て後悔はないと断言できる素晴らしい作品でした。